先日、アムアネ公演『赤と青』無事に全公演終了しました。
舞台裏で支えて下さったスタッフの方々、ご足労頂き劇場でご観劇頂いた皆々様方、お一人お一人の支えによるものだと思います。先ずは厚く御礼を申し上げます。
多くのお客様に見て貰えた事、終演後に直接お礼を言う機会を貰えた事、少しづつですが、今迄の演劇の形に戻りつつあるのかなと。こういう慣例には賛否あるかと思いますが、個人的にはとても大切にしていきたい事だと思っております。それこそ、小劇場でのお芝居の醍醐味の一つですから。
さて、作品の方に話を移しますと、今回の『赤と青』決してハッピーエンドなお話ではなかったと思います。
幼なじみの友人の存在、行動、そこに降りかかる一つの疑惑と自分の立ち位置。その全てが赤井武弘の肩に乗ります。生まれ育った町と妻の町の町同士の関係、父親との関係、何より最愛の妻と娘との家庭を守ること。
自分の記憶に蓋をしたまま、彼は家庭を築きそれを守る事にした。いずれ、明るみに出るかもしれない事に怯えつつ過ごす日々、時間と共に薄まっていく罪の意識。
ですが、彼はここで行動に移します。20数年前に別離した友人市原蒼介とまた会う為に。
私立探偵をしている葉山浩介に依頼し、市原蒼介の足跡を辿り、彼のその後を知る。結果彼が考える最良の結果とはならないのですが、一度失った事の大きさ、そして、それはもう二度と戻ってこない事を知り、彼はまた日常に戻る。人間が生きていく中で、時には嘘をついたり、自分の感情に蓋をして我慢し、耐えながら生きていく。その逞しさは、人間は決して綺麗事だけで生きていける生き物ではないんだと、自ら再認識させる物を描きたいとの構想の段階で思っていた事を作品に乗せる事は出来たのではないかと思っています。
作中で、探偵の葉山が話す『捻れ』これこそが人間の本質なのかもしれないと。環境、容姿、思想、様々な要素で人は人を判断し、分別していく。それが友人、知人、親、兄弟、恋人、上司、部下など、相手がどんな状況で自分と対峙していて、どんな関係性を築こうとも『捻れ』は必ず生じる。そこに大小があっても。
一点の曇りもない綺麗な関係性がこの世に無いとは断言しませんが、(というか出来ない。)
人はその生じる『捻れ』に悩んだり、苦しんだり、時には受け入れて生きていく。
そこにフォーカスが当たる作品をこれからも書いていけたらなと思います。そして、やっぱり人間って素晴らしいって言いきれる作品をいつか書きたい。
それが今後への挑戦です。
自分の主観ばかり書きすぎても取り留めなくなってしまいそうなので、今回出演してくれた皆さんへと話を。
今回、アムアネに初出演して下さった方が7名と、これ迄のアムアネをご覧になって頂いた方にはフレッシュな顔触れの座組になりました。
ここで一人ずつ紹介させて頂けたら。
まずは、探偵葉山浩介を演じてくれた富山健さん。
今年5月に出演した『奇跡のシンガー』で初めて共演して、そこから健ちゃん、健ちゃんと勝手に呼ばせて貰ってるのですが、共演した時から一発で好き!ってなりました。
雰囲気とか佇まいが好きなんです。役のイメージをした時にスケジュールが合えばお願いしたいと思ってまして。今回、運良く受けて貰えて本当にラッキーでした。事務所シーンでも松本悠加ちゃん、中尾優花ちゃんをよく引っ張ってくれました。
本当にありがとう!
続いて、学習院ひろせ(空想嬉劇団イナヅマコネコ)さん。
ひろせさんは所属されているイナヅマコネコさんでも、アムアネでも大変お世話になっている方で。
アムアネの出演でも、もう今回で3回お世話になっていまして。
いつでも全幅の信頼を置かせて貰っている大好きな俳優さんです。
普段、クールというか、余り口数を多くないひろせさんですが、はしゃぐととてつもなく可愛いです。
いつも楽屋で相手してくれて、ありがとうございました。めちゃくちゃ楽しかったです!
今回も、現代の赤井武弘という役を本当に素敵に演じて下さいました!本当にありがとうございます!
続いて、泉鮎子さん
鮎子さん、今回初めてアムアネに出演頂きまして、共演した事もなく、ご出演されている舞台を拝見させて貰った位でしかなかったのですが、もう稽古場で初めてお会いした時から佇まいから何からとてもお綺麗で。
でも、話してみたらざっくばらんで。飾らない所もすごく魅力的な方だと思っていました。
板の上に立つと流石の存在感で、綺麗なのに可愛いを表現出来るすごく素敵な女優さんです。
実年齢以上の母親役で、とても申し訳なかったのですが、板の上にいる時は、しっかりとした母でした。
勝手にお酒がお好きだと思っていたのですが、余りお飲みにならないとの事で想像だけ膨らませて申し訳ありません。本当にありがとうございました!
続いて、中尾優花ちゃん。
優花ちゃんも今回アムアネ初出演、しかも初舞台という事で、勝手の分からない所も多かったと思うのですが、持ち前の元気と人柄ですぐに座組の愛され役になっていました。セリフ量を見ても、初めての舞台で表現するにはプレッシャーもあったかと思うのですが、若さと勢いでどんどん吸収していく姿が頼もしかったです。
赤井さくらという純粋で真っ直ぐで、何事にも体当たりでぶつかっていくキャラクターを表現出来たのも優花ちゃんの人柄もあったのでは、ないかと。
これからまた、色々な舞台や現場を経験するとどんな女優さんになるのか楽しみが尽きないです。
本当にありがとう!
続いて、松本悠加さん。
彼女もアムアネでは初なのですが、5月の舞台でご一緒しまして。
劇中話すシーンはほとんど無かったのですが、アムアネの舞台に是非出て欲しいと思いお声掛けしました。
舞台以外で、話す機会が多く好きな作品の世界感なども似てると感じていたので、自分が書くアムアネの空気に合うんじゃないかと。
稽古時でも質問も多くて、よりこの世界に入ろうとしてくれている姿が心強く嬉しい気持ちで見ておりました。
しっかり者のお姉さんな加納紗英役でしたが、しっかりさくらの監督役を全うしてたのではないかと。
優しく気合いを入れてさくらを送りだすシーンは自分のお気に入りなシーンのひとつです!
本当にありがとう!
続いて、山本悠貴さん。
悠貴は、もうアムアネ常連と言っていい位続けて出てくれていて、いつもお世話になっている一人です。
今回、赤井武弘の青年期を演じて貰って、悠貴が出す素朴さとか、純粋な感情を出す所とかも信頼して見ていました。いつもトキワスレしかり、萼しかり、いつも難しい問題に直面する役なのですが、悠貴ならばといつもお願いしている次第でございます。
アムアネと共に、一緒に歩んでいると勝手にこっちが思っている大好きな俳優さんです。
これからも、一杯色んな世界で吸収して、その姿をアムアネで披露して下さい!
今回も本当にありがとう!
続いて、水野ふえさん。
ふえちゃんとも5月の舞台でご一緒して、それからお話させて頂く機会も多く、是非アムアネの舞台にとお声掛けさせて貰いました。
ふえちゃんには、回想パートの由美子を演じてもらったのですが、ふえちゃんの透明感というか、全く擦れていないピュアなイメージが役柄にとても合うなと思って見ていました。純粋な人が、色々な経験をして大人になっていく。その若い時のキラキラとした姿がまた娘のさくらともダブっていくような。
また違う役柄をしてもらったら、どんな反応になるんだろうと期待させてくれる役者さんです。
関西弁の役とか、サイコな役とか、色々想像は膨らみますがそれはまた次の機会で。
本当にありがとう!
続いて、島崎晋ノ介さん。
晋ちゃんも、共演の経験はないですが、公私で仲良くさせて頂いて、是非アムアネの舞台でと強く願って今回出演頂きました。
今回の作品のキーともいえる市原蒼介役。
他の誰でもなく晋ちゃんにして貰えた事でこの作品が完成したと言っても過言ではない位。
お芝居をしている所を見る機会が無かったのですが、稽古場で話している姿がこれはもう蒼介だなと。
台本を考えている段階での蒼介のイメージをいい意味で裏切ってくれる蒼介を作ってくれたんではないかと思います。それが島崎晋ノ介が演じる蒼介の正解なんじゃないかと。簡単に説明が出来る事の出来ない病気を患いながら、普段それを全く感じさせないでいてくれました。
それ位、この舞台に取り組んでくれた事、改めて感謝です!本当にありがとう!
続いて、芦沢ゆうさん。
ゆうちゃんも今回アムアネ初出演。ただその前から、仲良くさせて頂いて。今回、アムアネの舞台に是非にとお声掛けさせて頂きました。
ゆうちゃんが演じる回想時の木本節子。友達思いながら、僅かなきっかけで疎遠になってしまう。そこには、町同士の関係があったり、恋愛の感情のもつれがあったり、とても難しい役だと思うのですが、全力でぶつかってくれました。回想での由美子との場面。
色々な問題に直面していく由美子に冷たく言い放つシーン。見ているこちらまで感情が押しつぶされそうになりそうで。だからこそ、20年の時が経っても後悔しかなく胸に残り続けているのでしょう。
見て頂いている方は分かって貰えると思うのですが、とてもいい表情していて。ゆうちゃんもこれからどんどん色んな世界で吸収していく事が楽しみでしかないです!
本当にありがとう!
続いて、中村伊佐。
アムアネとして板の上に立ちつつ、その他の業務もこなす本当のしっかりした役者さんです。
今回、板の上に立つ時間が少なかったのが本当に申し訳ないと。もっと多くの人に見てもらって中村の魅力を発信できるようにアムアネの舞台を作っていかないと。
今回も、本番前に会場の誘導までして、本当に一人なのという位負担をかけてしまって。
彼女を舞台に専念出来る環境を作るのもアムアネの今後の課題です。
こいつにはただ一言です。がんばりましょう。
長々と書いてしまいましたが、舞台『赤と青』をご覧頂いた方、気にかけてくれた全ての方に最大限の感謝を!
毎公演終わる度に振り返る場を設けたいと思っているのですが、本当に筆不精で。2024年は、とりあえず今までの公演も振り返って見れたらと。(前も言ってました🙇♂️)
それでは、皆様良いお年をお迎え下さい。来年もアムアネをよろしくお願い致します。
2023年大晦日 演劇ユニットアムアネ周大樹